部落問題とは?
地球上に住む人々には、人種や民族の違い、出身や職業の違い、性の違いなど、いろいろな違いがあります。
これらの違いを理由に、基本的人権である権利を奪い、政治、経済、文化等の生活全般にわたって、不利益な扱いをすることが差別です。
とりわけ、被差別部落(同和地区)の出身であることを理由に行なわれる差別が部落差別です。被差別部落の原点は、日本の封建社会において、政治、社会等の諸要因によって形成されてきた身分制度のもとで、他の身分と分離させられ、衣・職・住等あらゆる生活面で厳しい状態におかれてきた地域であります。
これらの地域を出発点としながら、その後の社会体制の影響を受け、今日まで差別的状態が続いている地域が被差別部落です。
このように、歴史的、社会的に形成されてきた被差別部落に生まれ、育ったという理由だけで、人間として当然受けるべき権利を長い間奪われ続けてきた問題が、部落問題といわれるものです。
1965年に出された内閣同和対策審議会答申では「同和問題とは、人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である」ことを明らかにしています。
しかしながら、今日においても数多くの悪質な差別事件が後を絶たない状況にあります。
世界人権宣言では、「すべての人間は生まれながらにして自由・平等で平和に生きる権利がある」ことを明記しています。この精神を活かし、私たち一人ひとりの努力で、あらゆる差別を撤廃しなければなりません。
部落解放同盟加島支部とは?
加島支部規約第2章「組織」第4条では「本支部は加島部落を基盤に活動し、部落解放同盟の綱領、規約を承認する同盟員、支部員をもって組織する」となっており、加島部落の16歳以上(高校生は除く)の約99%が同盟員となっています。活動費は、どこの組織・団体とも同じように、個人の同盟費とカンパでまかなっています。
加島支部の前身は、1923年4月3日に創設された西大阪水平社です。第2次世界大戦後、生活改善、教育の取り組みを進め、1965年に部落解放同盟加島支部が結成されました。
加島支部は、あくまで部落の完全解放を求めることにこだわり続けています。当事者責任を果たすことによってあらゆる差別の根源が明らかになることを確信しているからです。私たちの部落完全解放を求める視点は以下の通りです。
@部落差別をつくりだし存在を許す社会のしくみや状況との闘い。
A部落差別に対する糾弾と部落問題に対する無理解・誤った考え方の克服。
Bこれからの運動をになう活動家の育成と同盟員一人ひとりの立ち上がり。
Cあらゆる差別を許さず、国内外の人々・団体との交流。
具体的には次のような活動を進めています。
@まちづくり運動〜夢をもってみんなで街づくりを進めよう〜
■ストック総合活用計画の議論を積極的にすすめ、多様な住宅供給の調査・研究を行います。当面の具体例として公営住宅でのグループホームを追求します
■加島校区全体を視野に入れたまちづくり(街づくり実行委員会に参画)
A福祉・労働運動〜「やっかいな、めんどうな、一人きりの福祉」から「みんなでワイワイガヤガヤと知恵を出し合い協力する福祉」へ
■中高年・高齢者・障害者の生きがい・就労支援
■農村部落と米を通じての交流と共同購入
■社会福祉法人加島友愛会の3施設、障害者会館、老人福祉センター等の関係組織との連携により地域福祉の充実を目指します
B教育運動〜子どもたちの未来を大きく開いていこう
■「日の丸・君が代」強制の強まるなか、卒・入学式のあり方についての検討
■部落解放子ども会の指導と高校生・大学生の人材育成
■子どもと関わって保育・教育保護者会の支援
■今後の加島・三津屋地区同和教育推進協議会のあり方の検討
■教職員、PTAとも連携し、学校ビオトープづくりを推進
C狭山・政治運動〜石川一雄さんの無罪はまだ晴れず
■天皇制・狭山を考える取り組み 学習会・ミニ運動会・地域文化祭
■狭山再審闘争 地域での取り組み 中央集会
■「ひと・愛・ふれあいプラザ」などの人権啓発事業への協力
D国際運動〜今後国際運動を通じて、差別・人権・平和のことを考えていこう
■韓国(順天YMCA)の子どもたちとのホームステイ交流
■「軍隊をすてた国」=中米・コスタリカに学ぶ
E情報・教育と自主活動〜だれでもわかる情報提供を
■加島支部独自ホームページの更なる充実
■パソコン、インターネットの積極活用の推進
■解放新聞加島版の発行
F青年・女性運動〜より自主的・主体的な活動を創意工夫しよう
■加島地域平和を願う女性のつどいに参画
G差別事件〜差別事件を許さず、一人ひとりが抗う力を身につけよう
■一昨年起こった差別身元調査事件の真相究明
■淀川区・西淀川区での差別事件の究明と対策
H行政交渉
■部落問題の解決と人権行政の推進をせまる
■地域から自治体へ、政府・国へ完全な形の「人権法」の制定を促す
◆支部活動の基調
(1)はじめに
本大会は、敗戦から60年、「部落解放同盟」へと改称してから50年、「同和対策審議会」答申から40年、「部落地名総鑑」発覚から30年、「部落解放基本法」発表から20年、「部落差別調査等規制等条例」制定から20年という年であり、さらに部落解放同盟加島支部が結成され40年という歴史的節目の年です。
これまでのひとつひとつの歴史を噛みしめ、先達の部落解放の実現という崇高な理想の実現へ向け、激動する時代の流れに乗り遅れることなく、人権確立社会に向けた運動を構築していきます。
(2)「人権侵害救済法」制定の闘い
人権確立社会の一歩を踏み出すために第162通常国会において「人権侵害救済法」制定を実現しなければなりません。
今国会に法務省から提出されようとしている「人権擁護法案」は、一昨年衆議院の解散によって自然廃案になった「法案」と変わりなく、独立性・実効性には程遠い内容になっています。
現在、自民党の人権問題等調査会と自民党法務部会の合同会議において、法務部会より「法案」に対して「人権の定義」が明確でない、人権擁護委員に「国籍条項」を設定すべきなどの意見がだされ、新たな問題が浮上してきています。
いかなる困難があろうとも、真に独立性・実効性のある「人権侵害救済法」の制定に向けて不退転の決意で闘いを進めなければなりません。さらに地域からの取り組みとして「地方人権委員会」の必要性について世論づくりを展開します。
(3)狭山再審闘争の闘い
最高裁第1小法廷(島田仁郎・裁判長)は3月16日付けで、再審を求めた特別抗告に対して抜き打ち的に棄却決定を行いました。
棄却の要旨は「はじめに棄却ありき」の内容であり、3月24日に弁護団が最高裁に2通の筆跡・筆記能力に関する新証拠と補充書を提出する旨で調査官と面会の約束をしていたのにもかかわらず、一方的に通知してきました。
鎌田慧さんの著書「狭山事件 石川一雄、41年目の真実」が多く読まれ、テレビ番組「ザ・スクープスペシャル」でも特集されるなどマスコミでえん罪・狭山事件がとりあげられ、公正な裁判・事実調べ、再審を求める世論の高まりを恐れ、棄却決定の暴挙に出たことは間違いありません。
狭山事件は、確定判決以来30年以上も事実調べも本人尋問も行なうことなく、証拠開示要求にも応じないという不公平・不公正極まりない裁判です。
今回の棄却決定でも改めて、狭山事件は部落差別に基づいた、えん罪であることが明らかになりました。
石川一雄さんは、棄却決定の失意の中においても、「無罪を勝ち取るまで闘い続ける」と、すぐさま決意を固めました。また、昨年亡くなられた山上益郎主任弁護人の意思を受け継ぎ、第3次再審闘争へと満身の怒りを込め突入します。
(4)憲法・教育基本法の改悪に反対する
現在、自民党は結党50年を迎えて、憲法の「改正」に躍起になっています。
これまで有事法制化、イラク派兵特別措置法など、自衛隊を海外に派兵するための法律が作られてきました。しかし、憲法9条の「戦争放棄」という原則があるため姑息な手段で自衛隊の海外派兵の立法化をしてきました。
今回の憲法改悪は憲法9条の歯止めを取っ払い、自衛隊を「軍隊」とし「海外で戦争ができる国」へと突き進めようとしています。
さらに憲法改悪の前に教育基本法も改悪し、愛国心・学力格差をあおり一部の国権主義エリートによる日本の舵取りを目論むものです。
泥沼化するイラク情勢を見れば一目瞭然です。毎日毎日尊い命が失われており、「戦争は最大の差別であり人権侵害である」ということを改めて確信し、憲法・教育基本法改悪の動きに反対していきます。
(5)持続可能な運動を創造する初年度とする
加島支部は今年、支部結成40年をむかえます。先の結成30年からこの10年間で部落解放運動を取り巻く環境は大きく変わりました。
33年間続いた「特措法」が終焉をむかえ、地区内公共施設は大阪市直営から法人などへ運営委託され、広く市民に開かれた施設へと改革され、部落外からの利用者も多数を占めるようになっています。また、社会福祉法人加島友愛会が運営する施設も4箇所となり大多数が地区外から働きに来ています。
地区内公営住宅においても「応能応益家賃」制度の導入、「ふれあい人権住宅」として校区への公募がはじまりました。さらに若年者の流出と急速な高齢化が進んでいます。
「特措法」失効後4年目を迎え、加島部落を取り巻く状況は大きく変化しているなかで、10年後の加島支部はどうなっているのか? 果たして部落差別は解消されているのか?
継続した部落解放運動の必要性は言うまでもなく、今後10年間持続可能な組織と運動を模索する初年度として活動を進めます。
(6)協働できる人的アプローチの推進
昨年11月に加島支部青年部の再建大会が10年ぶりに行なわれました。次代を担う人材の育成は重点課題であることは間違いありません。
現在地区内の青年層は一昔に比べ圧倒的に人口が減ってきており、人材を養成する対象者が少なくなっています。しかし、一方で地元法人が運営する地区内施設に就労する青年層は逆に増えてきているという状況があります。
加島支部の青年の育成は、言うまでもなく部落差別をはじめ人権問題に協働するという視点で部落内外の人材の発掘と養成を行なっていきます。
(7)今年度の重要な柱
@加島支部結成40年の取り組み
一昨年は、西大阪水平社が結成80年を迎え、今年は1965年、部落解放同盟加島支部が結成さ
れて40年を迎えます。40年の歴史を振り返るとともに記念行事を取り組みます。
A持続可能な運動・組織のあり方を模索する
支部結成40年を迎え、今後10年間、加島における部落解放運動を継続して展開できる支部を模索するため、全支部員を対象に「生活に密着したアンケート調査活動」をかしま人権協会と連携して取り組みます。
B継続して組織の再編をおこなう
これまで、仕事要求者組合、住宅要求者組合、保育保護者会などの組織改革をおこなってきましたが、公務員部会、教育保護者会、老人会、障害者組合、住宅入居者組合などの組織改革を継続しておこないます。
C部落内外に部落解放運動への協働者の結集をはかる
人権確立社会の確立と人権教育の発展をめざす様々な人々が結集できる基盤として、昨年5月に新たな組織として『NPO法人スイスイすていしょん』を設立しました。部落差別をはじめとする人権問題の領域を広げ、人権を基軸とした運動へ協働する仲間を広げていく取り組みを展開します。
D住宅の建替えから『新部落解放のまちづくり』を進めます
ストック総合活用計画にともなう老朽住宅の建替え、改修、多様な住宅供給などの課題を部落ぐるみで進めます。 また、高齢者世帯が増えていくなかで、悪徳セールスや緊急時の対処などができる『安心・安全な地域づくり』について、かしま人権協会と連携して実現していきます。
E政治活動を積極的に推進していきます
小泉自民党政権における、「構造改革」は強者の論理ですすめられ、経済破綻のつけを「弱者」に求めるというものです。自民党政権のばらまき政治によってもたらされた膨大な借金を、福祉の大幅後退「三位一体改革」の名のもと自治体へのしわよせによる支出の削減と地方での増税で乗り切ろうとしています。自民党政治を打ち破るべく、政治への積極的な関与と来るべき衆議院選挙、地方統一自治体選挙の闘いのための体制づくりをおこないます。
◆支部活動の基調
(1)人権立国をめざす参議院選挙の闘い
7月に予定されている参議院比例区選挙に松岡とおる中央本部書記長・大阪府連委員長が立候補します。今回の参議院選挙は、松本治一郎・松本英一両先輩が戦後守り抜いてきた「解放の議席」を10年ぶりに回復・確保するということです。議席を回復するだけではなく、部落解放と人権政策の展望をきりひらいていく闘いでもあります。また「人権侵害救済法」をはじめ部落解放・人権政策確立への具体的な法制度を実現するための闘いでもあります。小泉政権が現在進めようとしている「教育基本法」の「改正」問題や、新保守主義・反人権主義・「弱者切捨て」と「戦争への危険な道」の「改革」路線と対決し、「生命・人権・平和・環境」を軸として、被差別者が大同団結し、人権施策の代表者として人権立国を創造する最重要課題です。今回の選挙は比例区(全国)であり、全国の同盟支部が「組織内候補・部落の代表」の「松岡とおる」中央書記長を擁立し統一と団結で闘うものです。政党間の問題を持ち込むことなく「松岡とおる」で大同団結する組織強化の闘いでもあります。さらには、被差別少数者や人権団体と連帯し、人権という普遍的な課題を政治の中に根付かせる闘いでもあります。
(2)「人権侵害救済法」の制定・司法制度改革の闘い
先に提出された「人権擁護法案」は問題点を含んだものであり、「廃案をおそれず、抜本修正を求める」闘いを進めて、法案の問題点をあきらかにしてきました。しかし昨年11月に衆議院の解散により自然廃案となりました。現在は、「部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会」から「人権侵害救済法(案)」が発表されたことをふまえ、今後は、真に独立性・実効性を有した地方人権委員会設置を含む「人権侵害救済法」の制定にむけて取り組みを進めていきます。さらに国の法の有無にかかわらず、市民が人権侵害を受けたり受けるおそれのある場合の行政責任として、大阪における「人権侵害救済システム」の確立も求めていきます。狭山差別裁判においても、真の司法制度改革の実現に取り組みことです。寺尾差別判決から30年、最高裁の特別抗告から3年目を迎え「いつ決定をおこなってもおかしくない」状況にあります。えん罪の大きな要因として証拠開示の問題があります。弁護側が検察官の持つ証拠の開示を受ける機会を保障する制度の確立が必要です。しかし、司法制度改革推進本部でルール化が検討され、でてきたルール化案は、「弁護側が証拠を特定して開示請求し、検察官が相当と認めたときに開示する」といったもので、えん罪を防止するためにはほど遠いものです。狭山再審勝利を実現するため「すべての証拠リストを弁護側に開示し、その中から弁護側が証拠開示を請求し、検察官が開示する」「証拠開示ルール化案」へむけた闘いをすすめます。
(3)人権を柱としたネットワークの創造へ
昨年、西大阪水平社創立80年をむかえ、来年には部落解放同盟加島支部が結成されて40年をむかえます。支部結成から40年間、同和対策審議会答申、同和対策特別措置法、狭山差別裁判糾弾闘争、幾多の差別糾弾闘争、部落解放総合計画、教育闘争、福祉運動など支部員の結集により幾多の課題や困難を乗り越えて今日まで解放運動を進めてきました。33年間続いた「特措法」時代から法のない時代に入り、部落を取り巻く環境は大きく変化してきています。「同和対策」の時代から、一般対策を活用して部落問題の解決を図る時代となり早2年を経過しました。同和対策事業で整備された地区内施設も、大阪市の管理運営から人権文化センター、老人センターは社団法人大阪市人権協会へ、青少年会館は財団法人大阪市教育振興公社へ、障害者会館は社会福祉法人加島友愛会へと管理運営移行され、多くの市民の利用へと一般開放されてきています。地区内の市営住宅においても「ふれあい人権住宅制度」により、校区へと公募を広げ、入居がはじまっています。こういう部落を取り巻く状況の変化をマイナスとして考えず、加島における部落解放運動の裾野を広げるプラス要因としてとらえ、施設における人権のネットワーク、組織と組織の人権のネットワーク、人と人の人権のネットワークを創造していきます。
(4)いきいき暮らせる、協働のまちづくりを
地区住民の高齢化、困難を抱えた人々の流入と自立層の流出という傾向が、2000年実態調査で明らかになり、さらにこの数年で拍車がかかっています。また、「同和事業」の終焉にともない運動離れの状況が各地でみられます。今なお部落差別が現存するなかで、運動が衰退するならば、部落に新たな困難と人権課題が集中することが危惧されます。ストック活用計画による公営住宅の建替え問題も緊急の課題となっています。これを期に住環境整備はもとより、高齢者が生きがいをもって暮らせる、生きがい安心支援や困難を抱えた人々が自己実現へむけて生きていける自立支援などのサポートシステムの整備が必要です。また、若者や自立層が住み続けることができ、地区外居住者が戻ってこられるような多様な住宅政策などの確立も必要です。部落の良さであった相互扶助の伝統を再生し、人間らしく安心して、いきいき暮らせる地区にするためのまちづくりを推進します。さらに、その成果を部落発の協働のまちづくりとして周辺へと広げていきます。
(5)次代の部落解放運動を担う人材養成
部落解放、人権の砦としての加島支部を支え発展させるのは加島支部に結集する支部員があってのことです。現在の加島支部は高齢化、若年層の流出などの課題を抱えています。時代の流れによる世代間のギャップも現れており、次代の運動を担う人材の育成は緊急の課題になっています。また、差別の現れ方も直接的なものから間接的、暗躍的なものに変化してきています。全国的におこなわれている同一人物による差別投書事件などいまだに実行者は見つかっていません。現在も部落民、在日韓国・朝鮮人、障害者、ハンセン病回複者などに対する差別投書が執拗に続けられています。また、インターネットにおける差別書き込みも排除、扇動、恫喝、部落地名調査など悪質なやりとりがおこなわれています。この差別の現実をふまえつつ、これまでの運動の価値観を強制するのではなく次代の価値観で運動に新たな血潮を吹き込むことも重要です。人材の育成はもとより世代交代などもふくめ新たな運動の展開、発展をめざさなければなりません。さらに、部落差別をはじめ人権問題、福祉問題、教育問題、反戦・平和、環境問題などで結集軸をつくることによって、部落内外の協働者や個人のネットワークによる運動の推進も図っていきます。
(6)今年度の重要な柱
@松岡とおる参議院選挙闘争に勝利する
この闘いは、部落解放運動の命運をかけた闘いといっても過言ではありません。政治の場に「部落の代表」「人権政策の第一人者」として松岡とおる中央書記長を送りこむ闘い、今後の日本における人権確立の方向を決する闘いです。解放同盟の全勢力を結集して勝利にむけ闘います。
Aより多くの意見が反映できる、プロジェクトやシステムの構築
保育・教育の課題、福祉・医療の課題、まちづくりの課題、起業・雇用の課題、公営住宅建替えの課題など加島地域には様々な課題が存在します。部落内外の人たちが課題解決にむけて連携できる協働のプロジェクト・システムをつくります。
B部落内外に部落解放運動への協働者の結集をはかる
部落差別の発生の多くは部落外からの問題であり、部落に対する誤った認識や偏見が根強く残っている結果です。これまでの運動により、一定の成果はあがってきており、部落解放運動も人権の確立された社会に部落差別の解決を求めて運動を展開しています。そういう意味では、部落差別をはじめとする人権問題に領域が広がってきています。 人権を基軸とした運動へ発展させるためにも協働する人々が結集できる取り組みを展開します。
C住宅の建替えから新「部落のまちづくり」を進める
ストック総合活用計画にともなう公営住宅の建替えがはじまります。老朽住宅の建替え、改修、多様な住宅供給などの課題を部落ぐるみで進めます。建設後35年を経過した住宅は基本的には建替えの対象となり、この期に将来を見据えた新「部落のまちづくり」を計画しなければなりません。高齢者や障害者に配慮した住宅や、若者や公営住宅の収入超過者が地区に住み続けられることができる多様な住宅計画づくりをおこないます。
Dふれあい人権住宅の本格実施にともなう自治会機能の構築
昨年度より「同和向け公営住宅」からふれあい人権住宅制度が導入されました。加島地区においても加島校区に公募をおこない入居がはじまりました。これまでは、住宅入居=支部員入会となっていましたが、現在は住宅に支部員と支部員でない入居者との生活がはじまっています。よりよい共同生活と住民自身が住宅の課題を解決できる組織として住民自治の組織化と問題解決システムをかしま人権協会、加島東之町会と連携してつくります。
「部落解放基本法」制定を求めた闘いの成果をふまえ、昨年7月「基本法」中央実行委員会総会において「部落解放・人権政策確立」要求運動へと改組され、大阪においても「同和問題解決(部落解放)・人権政策確立要求大阪実行委員会」へと発展的改組されました。今国会で昨年に引き続き審議されようとしている「人権擁護法案」は、これまで2回の継続審議になったにもかかわらず、今なお法務省の外局として「人権委員会」を位置付け、5名の中央委員で人権侵害問題を取り扱うというものです。韓国・フィリピンにおいても「人権擁護法」が制定され人権委員会が設置されていますが、日本は人権問題には相も変わらず「人権鎖国」国として世界的な人権委員会組織整備の潮流へも逆行する「人権擁護法案」を変えようとしていません。名古屋刑務所で発覚した受刑者にたいする人権侵害事件を闇に葬ろうとする法務省の姿勢や、部落差別・人権侵害は日常的に地域で発生するものであることを考えれば、第三者的立場で人権侵害問題を審議できる機関、より身近な地方にも人権委員会を設置する内容の「独立性・実効性」のある「人権擁護法案」に抜本修正をもとめなければなりません。部落問題をはじめ、障害者、定住外国人の人権問題、児童虐待問題、DV問題、地球環境問題、不況による新たな人権問題など人権を基軸とした「法」体系の整備・確立をさまざまな人々と連帯しながら、人権の確立された社会の創造をめざす重点課題として「人権擁護法案」の抜本修正の世論を高めなければなりません。
(2)「連帯・共有」をキーワードに部落解放運動の社会的貢献を高める運動へと
2000年実態調査で部落の高齢化率・失業率・生活保護率など社会の矛盾が部落に集中していることが明らかになりました。この間、加島支部やかしま人権協会に周辺住民から寄せられた相談内容からも、周辺地域にも様々な問題・課題が存在することがわかってきました。部落に生起する社会矛盾を部落に止めるのではなく、広く周辺地域と協働の取り組みとして課題解決をはかっていく必要があります。そのためにも「連帯・共有」ということに重点を置き信頼と信用できる部落解放運動へと発展せねばなりません。同和対策事業として整備された人権文化センターは大阪市人権協会に管理委託され、今後は、青少年会館、老人センターについても管理・運営のあり方が議論されています。地区内施設は運営が委託されようとも部落問題の解決や人権の視点で、これまでにも増して地域の社会資源として位置付け、「連帯・共有」の具体的物的資源として運営をされるよう求めていきます。また、「連帯・共有」を進めるうえで重要な柱となる加島地区まちづくり実行委員会を中心に地域の課題を共有化し、ハード(建設・整備)、ソフト(コミュニティー)の取り組みへも連帯していきます。「特別措置法」での同和行政から一般施策を活用・改革・創造し人権行政としての同和行政を推進し、部落解放運動で培ってきた経験とネットワークをフルに活かし、誰もが「生きがい」「やりがい」「生きなおし」ができ自己実現できる社会へと具体的施策を求めていきます。
(3)組織強化改革の具体化
第36回大会において組織強化改革3ケ年計画(USJ計画)を決定し最終年度をむかえます。これまで「特措法」時代に組織整備してきた住宅要求者組合・仕事要求者組合については解散し、新たなシステムに移行をおこないました。住宅入居者組合についても住民自治組織へと発展する仕組みを考えてきたところです。しかし、組織強化の基本的課題である「組織」のあり方については、まだ具体的提案ができていません。今日、全国的にも同盟員は減少化傾向にあり、「部落民とは・同盟員とは・組織とは」ということを明確にし、組織強化の具体的方向を確認するために今年度中に支部員に提案していきます。
(4)今年度の重要な柱
@組織強化改革3ケ年計画(USJ計画)の具体化
これまで議論してきた内容をまとめ、支部員に提案します。
ANPO法人の設立(教育関連を中心として)
さまざまな活動領域において柱となる組織の整備をおこなってきました。福祉の部門では社会福祉法人を設立し、まちづくりではまちづくり実行委員会で加島校区での活動領域が広がってきました。中高齢者の就労支援ではアタックサービス企業組合を設立してきました。教育分野(子育て)における活動領域を広げるためにも新たな組織形態が必要であり、教育分野を中心課題としたNPO(非営利組織)の立ち上げをおこないます。
B公営住宅の建替え計画と在宅福祉計画の策定
加島地区の公営住宅は、1960年代〜1970年代に建てられたものが大半であり、80年代に建てられた住宅も風呂設置・バリアフリー整備がなされていません。10年〜20年先の動向を見据え、高齢者にとって安心で安全な住宅や若年者が住み続けることができる住宅を検討し建替え計画を確立します。あわせて、在宅福祉の視点で社会福祉法人加島友愛会と連携し、住宅福祉推進モデル事業を誘致し具体化をはかります。
C地区内公共施設のあり方の検討
同和対策時代に整備された地区内公共施設も「法」後改革が進められています。人権文化センターは昨年度より大阪市人権協会に管理運営委託され、障害者会館は加島友愛会に委託されました。青少年会館・老人センターについても管理・運営のあり方が議論されており、部落問題の解決、人権確立に資する社会資源として運営されるよう具体的な検討を進めます。
D西大阪水平社創立80周年の取り組み
1923年4月3日、加島支部の前身である西大阪水平社が創立され80年をむかえます。部落差別の厳しいなか「人の世の冷たさが、どんなに冷たいか、人間をいたわる事が何であるかをよく知っている」だからこそ人間が人間として生きていくために、厳しく暖かい運動をおこなってきた西大阪水平社の歴史を振り返るとともに、新たな発見と協働の取り組みをおこないます。
E狭山再審闘争の再構築
今年は、石川さんが不当逮捕され40年を迎え、現在狭山第二次再審闘争は特別抗告審に入っています。冤罪の温床となっている現在の司法制度について改革論議がはじまっています。「司法制度改革」をふまえ証拠開示ルール化の実現や「公正な証拠開示を求める会」、民主党「刑事訴訟法ワーキングチーム」などの取り組みとも連帯し再審の門を開ける司法における闘いを展開していきます。また、狭山事件を初心に帰って活動を進めるための、取り組みを具体化します。
F政治・選挙闘争
知事選挙・市長選挙において、地方自治体における人権行政・同和行政の推進をはかることを基準に知事選・市長選の準備を整えます。「国権主義」の台頭と景気低迷から脱却できない小泉自民党政権から「政権交代」を実現するために「平和・人権」勢力の拡大をおこなわなければなりません。いつ解散総選挙がおこなわれるかわからない情勢に加え、第5区選挙区においては民主党第5区稲見哲男総支部長の必勝にむけた体制整備をおこないます。来年7月におこなわれる参議院選挙において、大阪府連松岡徹委員長(中央書記長)の立候補が全国大会で確認されました。解放の父、松本治一郎からの解放の議席を奪還するために必勝にむけた体制を確立します。
2002年度 活動の基調
(1)人権を基軸とした社会の創造へ
1985年から始まった部落解放基本法制定要求国民運動も17年目をむかえました。現実的な法整備として「人権教育・啓発推進法」の制定を一昨年勝ち取りました。現在、私たちが求める「人権救済法」に関わるものとして、「人権擁護法案」が第154通常国会において提案され審議されています。しかし、その内容は、人権委員会の政府からの独立性やマスコミ・表現の自由の観点から大きな問題点をもっています。原案のままならば私たちはあくまで反対であり、真に実効性ある救済制度にするために抜本的な修正が必要です。
これまでの取り組みをふまえ、「部落解放基本法」から「あらゆる差別撤廃のための法制度」を求める運動へと発展させなければなりません。特措法の失効にともない、「同和行政・人権行政も終焉をむかえた」という風潮が往々としてあります。しかし、今なお悪質な差別事件があとを絶たず、2000年意識調査においても就職や結婚に関わる差別意識の傾向が指摘されています。差別が社会にある限り、人権行政・同和行政は推進されなければならないということを明確にせねばなりません。
電子空間で匿名による人権侵害事件も続発しています。「プロバイダー責任法」などをふまえ、電子空間上における人権侵害の撤廃を進めるとともに、人権問題の発信や人権に関わる相談ができるような積極的活用方策も必要になっています。「住民基本台帳ネットワークシステム」が8月より実施される予定となっています。すべての国民に11ケタの固有の番号を付け、「氏名、性別、住所、生年月日、住民票コード付随情報」など6つの個人情報に関して、各自治体と国の機関をコンピュータ・ネットワークで結合するというものです。1年後には身分証明機能を持った「住民基本カード」が配布されるようになります。個人情報の悪用や、部落地名総鑑以上の人権侵害にもつながる危険性をはらんでおり、個人情報保護、「自己情報コントロール権」などの実現が求められます。部落問題をはじめ、障害者、定住外国人の人権問題、児童虐待問題、地球環境問題など、人権を基軸とした「法」体系の整備・確立を進め、さまざまな人たちと連帯しながら、人権の確立された社会の創造をめざさなければなりません。
(2)新たな時代を進取する部落解放運動へ
「特措法」の失効をふまえ、部落解放運動も新たなステップに入っています。これまで同和対策事業の委託管理をおこなってきた「大 阪市同和事業促進協議会・かしま地区協議会」は、一般対策を積極的に活用し同和行政・人権行政の推進をはかっていく「大阪市人 権協会・かしま人権協会」として生まれかわりました。かしま人権協会は、地区にとどまらず、校区、淀川区、西淀川区をも視野にいれて、人権行政・同和行政の推進をはかることによって部落問題の解決をめざす公益法人として、これまで以上に重要な役割を果たさなければならなくなっています。部落解放運動も「連帯」がキーワードになっています。部落住民の要求をまとめ施策を実現してきた「部落完結型運動」から、「人権」を基調にすえた周辺住民・市民との「連帯」型運動へと発展しなければ、福祉・医療・教育などの諸課題を解決することはできません。そのためには、進取の精神で運動を進めることが必要です。30年前と今日では社会の状況は大きくかわりました。日々変化していく時代の流れに乗り遅れてはなりません。地域における情報の収集・発信システムの中心として部落解放運動が果たす役割は重要になっています。
(3)USJ計画(組織強化改革3ヵ年計画)の実践にむけた議論を
昨年の第36回支部大会において、「法」期限後をみすえた組織・運動へと改革をすすめるための3ケ年計画を策定することを決定しま した。まず、「同和対策事業」に対応してつくられてきた各要求者組合・受給者組合を改革する必要があります。住民自治・自立の観点を明確にし、人権協会による総合生活相談事業や地域就労支援事業などを積極的に活用しつつ、組織の性格や役割の変更・改革、または解体するなどの方向をださなければなりません。
@仕事要求者組合 仕事保障(仕事待ち)という受身の取り組みから、地域就労支援事業を活用して、資格取得、自己啓発、生きがいづくりなどの主体的な取り組みに転換する必要があります。
A住宅要求者組合 同和向け公営住宅(地区住民の優先入居)が「ふれあい人権住宅制度」に転換され、校区を対象にした困窮度に応じた入居システムになるため、必要なくなります。
B住宅入居者組合 99%が公営・改良住宅であるという加島地区の特性を生かし、住民コミニュティ組織へと改革する必要がありま す。これまでは、支部・町会・住宅入居者組合が三位一体的でしたが、各組織の役割と住民の責任を明確にし、地域コミニュティへと発展させます。
C人材育成 次代の解放運動を担う若年層の人材育成は重要な課題となっています。実態調査でも若年層の地区外への流出傾向 が現れています。青年が地域で自信をもって活躍できるよう、青年独自の企画への支援をおこなっていきます。人材養成は若者だけの問題ではなく、女性・高齢者など各層での人材育成も重要です。それぞれの興味や特性に応じた活動や、子どもから高齢者までの異世代の交流などを考える必要もあります。
D「やらされている」運動から「やっていこう」とする運動へ
目的意識や興味・関心をもつ者が集まり、自ら動き、活躍できる組織、や りがいや生きがいを感じられる組織、一人一人の自己実現を支援できる組織をめざします。
E人権協会・地区内施設の有効活用 今年度より、人権文化センターが市人権協会に管理運営委託されました。今後は障害者会 館の地元社会福祉法人への委託、老人福祉センターの地元法人または人権協会への委託が課題として議論されています。地区内施設の人権協会・法人への委託によって、これまでの機能が損なわれたり、行政責任が放棄されたりしてはなりません。貴重な社会資源である地区内施設を、周辺住民・市民により開かれたものにすることを通じて、同和行政・人権行政の発展ひいては部落問題の解決にいかに役立てていくのかが大切です。
(4)今年度の重要な柱
@組織強化改革3ヵ年計画(USJ計画)の具体化
昨年の大会で方針化したUSJ計画について、支部員に提案し議論をまきおこします。
Aやりたい者の組織づくり
部落解放運動だけではない、人権や環境、平和などさまざまな問題意識を持った者がやりがいを共有し、連帯できる組織づくりを進めます。
B情報収集・発信できる体制づくり
日々変化する今日、情報の収集・発信は大変重要な課題になっています。電子空間での情報収集・発信(加島支部ホームページ)をより充実させるとともに、解放運動の現状や加島支部の活動報告・予定などを、ていねいに支部員に提供できるシステムをつくります。
C住民自治の確立
これまでの支部=入居者組合=町会という三位一体的な形態から、各組織の独自性を明確にしていきます。99%の公営住宅という加島地区の特性を生かし、住民自治を確立し、地域コミュニティの活性化を進めます。
Dストック総合活用計画(公営住宅の建て替え・改修・活用計画)と住宅福祉の確立
加島地区内の公営住宅は、1960年代〜1970年に建てられたものが大半であり、建替え・改修の計画を具体化しなければなりません。10年、20年先の動向をみすえ、公営住宅だけでない多様な住宅のあり方も検討し、高齢化にともなう住宅福祉の観点も含めて、今後の住宅政策の基本方向を確定し、住宅の建替え・改修計画を確立します。
E反戦平和・共生の国際交流
昨年8月、今年4月の小泉首相による靖国参拝、日の丸・君が代の強制、有事法制化など日本の右傾化、戦争ができる国家体制づくりが強化されてきており、アジア諸国は危惧をいだいています。このような状況に警鐘をならし、反対の取り組みを進めるととともに、未来にむけた平和・共生の視点で民衆同士の国際交流に取り組みます。
F政治・選挙闘争体制の確立
さまざまな「迷文句」で高支持率を得てきた小泉内閣も、物価下落と景気後退がつづく戦後最悪の経済状況への具体的解決策を見出せず、「化けの皮」がはがれ、支持率が急落しています。いつ解散総選挙があっても即応できる体制を準備するとともに、来年4月に実施される統一自治体選挙闘争必勝にむけた体制強化をはかります。
2001年度 活動の基調
(1)人権を基軸とした社会の創造へ
「部落解放基本法」の現実的な制定として、昨年12月に「人権教育・啓発の推進に関する法律」が施行されました。現在は、人権擁護推進審議会において、「人権救済のあり方に関する中間とりまとめ」をふまえ、最終答申にむけ議論がされているところです。また、3月には興信所による差別身元調査事件の徹底糾明を進めるなか人権を柱とする公正採用・調査システムの提言がまとめられ、さらに、この8月には「大阪府同和対策審議会」答申が出される予定で、着実に人権を基軸とした「法」体系の整備が進んでいるところです。
しかし、最近では電子空間における差別事件が多発しています。部落の所在地を提示したり、部落問題・障害者問題などをおもしろおかしくやりとりするなど、きわめて悪質で差別を助長・拡散する行為です。また、それを規制する「法」もなければシステムもない状態であり、早急な規制のあり方を明確にしなければなりません。
一昨年制定された「男女共同参画社会基本法」の具体化、障害者の人権問題、児童虐待問題、永住外国人地方参政権問題、地球環境問題など人権確立を求める広範な市民連帯・当事者との連帯をつよめ人権を基軸とした「法」体系の実現をめざし闘います。
部落解放運動も、部落差別をはじめ人権・平和・環境という土俵で闘いや取り組みを進めていかなければなりません。これまで培ってきた部落解放運動の力をふるに発揮し人権問題を取り組む先駆者として、被差別当事者・市民と連携・連帯をし、人権を確立する社会システムの創造をめざします。
(2)新たな組織と運動の創設をめざす、部落解放運動へ
「特措法」がなくなれば、同和行政そのものがなくなるということではありません。部落差別があるかぎり行政の責任・役割は重要であり、同和行政は部落差別がある限り行わなければならないものであることを明確にし、あくまで「同和対策事業に基づく法律」の期限が切れるということです。
これから私たちは、30数年経験していない「特措法」のない時代へ突入していくのです。
市同促・地区協もこれまで「同和対策事業」を受託・執行してきた法人から、一般対策を受託する公益法人として生まれかわるため、大胆な改革方向をうちだしています。法期限後は一般対策の「積極的活用・改革・創設」として対応し、これからは部落住民のみならず、周辺住民も対象とする方向で改革が進められています。今後、同促協・地区協のはたす役割はさらに重要になります。
「部落住民だけが」という認識はあらため、部落解放運動も「行政依存」の体質から脱却し、「人権を軸とした社会システムの創造」をめざし、人権が確立した社会に部落の解放を展望する運動組織へと変革せねばなりません。
そのためにも、われわれ自身のなかにある「依存」意識の変革と部落解放運動のフィールドを部落から部落周辺へと拡大していかなければなりません。「部落発」の人権を柱とした住民運動・市民運動へ飛躍するチャンスと受けとめ、組織の改革と運動の具体化をはかります。
(3)加島支部組織改革・強化3ヶ年計画(USJ計画)
2000年部落実態調査を徹底分析し、運動の方向をさだめるとともに、「法」期限後をみすえた組織のあり方について、3ヵ年計画を策定し、大衆討議をおこない、痛みを恐れず「慎重かつ大胆」に改革し組織強化を進めていきます。
1年目 | アップ(UP)=準備する(ウォーミングアップ) | 改革の基本方向の考え方をまとめる。 |
2年目 | ステップ(STEP)=歩みはじめる | 基本方向について大衆討議し、改革の道筋を明確にする。 |
3年目 | ジャンプ(JUMP)=結果をだす | 改革の実施。 |
3ヶ年計画の考え方は、今年度は2000年部落実態調査を徹底分析し、3年〜5年後をみすえた組織のあり方について執行部を中心に議論を進めます。そして、来年度はその内容を徹底的に大衆討議をおこない道筋を合意形成させていきます。最終年の3年目は、その内容について具体的な形として実施していきます。
(4)今年度の柱
組織強化・改革については3ヶ年として進めていきますが、部落解放運動は立ちどまることはできません。日々変化する社会に対応し、取り組みを進めなければなりません。そのためにも今年度の活動の柱を提案します。
@ 2000年部落実態調査の徹底分析をおこない、加島部落の課題を明らかにし今後の「同和行政・人権行政」の構築にむけ行政交渉を展開します。
A これまでの教育運動・福祉運動・まちづくり運動などを加島周辺をも視野に入れた部落発の運動へと発展させます。そのために、執行部中心型の運動提起からあらゆる課題に当事者や興味のある人々が結集できる、参加型を基本とし、課題別プロジェクト運動として取り組みます。
B 「自由主義史観」グループ=「新しい歴史教科書をつくる会」による歴史の歪曲、戦争賛美を許さず、反戦・平和の立場で正しい歴史認識を深めるとともに、アジアを中心に国際連帯・住民連帯を進めます。その際、次代の運動を担う、世代育成のための視点を複合させ、青年活動・子ども会活動の活性化として取り組みます。
C 日々革新する情報化社会に対応するため、国の「IT関連事業」を積極的に活用し、支部「IT運動」として取り組みます。また、加島支部ホームページを活用し、加島支部の取り組み・部落問題をはじめとする人権問題の情報発信をおこないます。
D 「法」期限最終年度をむかえ、新しい公益法人として生まれ変わる市同促・地区協改革について加島地区協と連携し進めます。また、今後受託する一般対策事業について調査・研究をおこないます。
E 法体系整備をはじめ、人権を基軸とした社会システムを構築するうえで、政治闘争はきわめて重要です。当面する参議院選挙においては、比例区は民主党、大阪選挙区は民主党・山本たかしさんの必勝にむけて闘います。
狭山再審闘争について
@一昨年の1999年7月8日、東京高裁・高木俊夫裁判長により狭山第2次再審請求が棄却されました。この高木裁判長は昨年12月「東京電力女子社員殺害事件」で逆転有罪判決(無期懲役。一審は無罪)を下しており、私たちはきわめて反動的な裁判官との評価をしています。
A狭山弁護団は同月12日東京高裁に異議申立書を提出、現在は異議申立ての審理(異議審)が行われています。第一次再審請求では、約一年で異議申立が棄却されており、予断を許す事はできません。最も大事なことは裁判長に鑑定人尋問や現場検証などの事実調べ行わせることが重要であります。そして、棄却決定を取り消させて、再審開始を勝ち取る事が当面の課題と言えます。
B狭山弁護団は、昨年9月、足跡に関する新しい鑑定書を東京高裁に提出しました。これは、三次元スキャナという最新機器を用い、「犯人の現場足跡と石川さんの家から押収された地下足袋は一致する」とした再審棄却決定の矛盾を明らかにするものです。さらに、11月には新鑑定を出した山口・鈴木 東京大学助教授がその内容を東京高裁・高橋省吾裁判長に説明しました。これは再審段階では初めてのことであり、大きな意義があったと考えます。
C依然として東京高検は「プライバシー」等を理由に証拠リスト・証拠の開示を拒否しており、昨年11月に発表された司法制度改革審議会の中間報告でも「検察官による証拠開示の拡充」の必要性が指摘されています。2メートル以上もの未公開の証拠があるにもかかわらず、開示を拒否しつづける検察の姿勢は全く不当なものです。
狭山弁護団は、昨年12月27日、東京高裁に@山口・鈴木補足意見書A異議申し立て補充書B新証拠としての小畠意見書を提出しました。Bについては、今月末に補充書を提出することを伝えました。@は、昨年11月に山口・鈴木両鑑定人が東京高裁の高橋省吾・裁判長に足跡に関して直接、鑑定内容を説明したことを踏まえ、作成・提出したものです。Aは、足跡に関する山口・鈴木鑑定の意義・意味を再確認するとともに、棄却決定の誤りを明らかにし、ただちに再審を開始することを求めています。Bは脅迫状封筒の「少時」がボールペンでなく万年筆で書かれたという齋藤第1、第2鑑定の結論を化学的に裏付けるものです。さらに本年、1月26日には東京高検の江幡豊秋・検察官と証拠開示に関わる交渉を行い、同日に東京高裁に小畠意見書の補充書を提出しました。
このような狭山弁護団による活発な動きに敬意を表するとともに、異議審闘争勝利への武器として取り組みを強めていきたいと思います。
教科書問題を考える(2001.4.3追加)
来春から小中学校で使われる教科書を審査する2000年度の検定が終わり、「新しい歴史教科書をつくる会」(西尾幹二会長)が中心となって執筆した中学校歴史教科書が合格した。「つくる会」の教科書をめぐっては、韓国や中国が「過去の日本の侵略を否定しており、検定による記述の修正も不十分」と批判、不合格を求めていたことから、日韓・日中関係に影響を与えるのはまちがいない。「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史・公民教科書が文部科学省の検定に合格したことについて、「子どもと教科書全国ネット21」など12の市民団体が3日午後、東京都内で記者会見を開き、「日本国憲法を否定し国際孤立の道へ踏み込む危険な教科書が、子どもたちの手に渡されることを許すことはできない」などとするアピールを発表した。 中国、韓国などから「歴史をわい曲している」と批判された学校の社会科(歴史分野)の教科書も合格した。「新しい歴史教科書をつくる会」(西尾幹二会長)が主導し、扶桑社が発行する教科書で、最初に提出された「申請本」には、近現代史を中心に137カ所に修正を求める検定意見がつき、すべてを書き直した。しかし、中国などは「修正は不十分」としており、大幅修正に納得するかどうかは微妙であるらしい。同じく扶桑社が申請した中学社会(公民分野)の教科書も99カ所の検定意見に基づく修正を行い、合格した。
韓国併合を「合法的に行われた」と記し、問題になった記述は、「一面的な見解を十分な配慮なく取り上げている」と意見がつき、全面修正された。南京事件を「ホロコーストのような種類のものではない」とした記述も削除された。
太平洋戦争の戦局悪化に伴う政策として、申請本では「学徒出陣」だけを挙げていたが、「台湾、朝鮮の状況についてほとんど触れておらず、調和がとれていない」と意見が付き、日本の植民地だった朝鮮、台湾でも徴用・徴行われたこと、日本人に同化させる皇民化政策が強められたことが書き加えられた。
現地の人々に「さまざまな犠牲や苦しみをしいることになった」などの記述も入り、「日本の加害者としての視点」が加えられている。
文部科学省は、近現代史の扱いについて近隣諸国への配慮を求めた検定基準の「近隣諸国条項」を適用したわけではないとしながらも、「全編にわたり、条項の精神を生かす検定意見を付した」と説明している。
以上 時事通信社 記事 (2001年 4月 3日
16:59)より抜粋しました。
今回の「つくる会」の教科書が修正の中、検定に合格したことで、まずは文部科学省のいいかげんな対応への憤りがあげられますが、今後、「つくる会」の教科書を「日の丸、君が代」同様に押し付ける動きに対して、真っ先に警戒が必要です。実際に群馬県では県議会において自民党中心の会派によりこの教科書を教育現場に強制していく動きがでているようです。どのような教科書を作ろうが自由であり、勝手だと思います。しかし、教科書を選ぶのは子どもたちであることは忘れてはなりません。このような反動的な動きには断固反対していきます。
この8月5日に住民基本台帳ネットワーク(後述、住基ネット)たるものが稼動しました。そもそも住基ネットとは市町村の住民基本台帳に記録されている個人情報のうち、@氏名、A住所、B生年月日、C性別、D住民票コード、Eそれらの変更履歴の6情報を全国の自治体のコンピューターを結んで一元管理をおこなうシステムです。もちろん加島支部は反対の立場でありますが、市民一人一人に11桁のコード番号をつけることに反対とか、国民総背番号制につながるから反対とか漠然な理由ではなく、住基ネットの現時点における問題点を明確にしていきたいと考えています。
まず、税金の無駄遣いであることが指摘できます。全国のどこの自治体からでも住民票が取れるようになることから、総務省は年間130億円もの節約になるといいますが、システム構築費用に365億円かかり、維持費が年間190億円という試算があります。現状ではネットワークから離脱している自治体も増えてきているようで、本来の機能を果たすことも難しく、その他全く便利なことが見当たらないネットワークシステムにそれだけの莫大な費用をかける必要があるのでしょうか?(一部企業の景気対策にはなっているのでしょうか?)
次にセキュリティ面ですが、技術的にはIP-VPN(仮想専用線)を使っているのでネットワーク的には外部への情報漏洩は考えられないのですが、私たちの住んでいる大阪市では個人情報保護条例が存在しますが、防衛庁の個人情報リストが漏洩したように、普段、システムをメンテナンスしている業者からデータが漏れる確率が高く、この業者を罰する法律が現状では整備されていません。たとえ、住基ネットに罰則規定等が設けられているとはいえ、データ漏洩は未然に防ぐことは不可能だと言えます。この点が最も大きな問題点だと言えます。
以上の理由により加島支部では地区内の同盟員から住民票コードを回収し、まとめて最寄の区役所に返却することにより反対の意思を表明していこうと考えています。
巷では教育基本法の改悪に向けた動きに拍車がかかってきているようです。今回(2005.1)、明らかとなった改正案をかいつまんで紹介すると@憲法との整合性を削除A愛国心の強制B経済的弱者に対する教育援助の削減Cジェンダーフリーの否定D6.3制の変更E国又は地方公共団体による図書館、博物館、公民館などの運営義務の削除などとしています。改正案のねらいは:海外での利権を守るために軍備を増強することを目的(総てではありませんが)に→@愛国心を持った人材を育成A教育に関わる公的援助を削減し、エリート、ノンエリートの格差を拡張B国の予算における教育費の削減、軍事費の拡充C優遇措置を条件にノンエリート層を軍隊に勧誘・招へいDいわゆる弱者が戦場の前線に立たされ、たくさんの罪のない人たちの命が苦もなく奪われる。とのストーリーが想定されます。さらにエスカレートすれば徴兵制の導入へと流れ、より多くの人命が奪われることになります。
果たして私たちは今、何をするべきなのでしょうか?それは各々がアンテナを高く掲げ、人権の観点からその背後にどのような意図があるのか認識し、タイムリーに情報発信していくことが大切だと考えます。反戦、反差別の大きなうねりを生み出すために!
(修正)1月に明らかとなった改正案は2005年2月28日現在、政府からの案としては出されておらず、あくまでも読売新聞の案として記事となったことが正しいことをお知らせしておきます。
これまで「天皇を中心にした神の国」、「寝てくれていたらいい」等々いわゆる失言オンパレードの森さんはいまだに総理大臣を続けているようです。
アメリカでは大統領にようやくブッシュ氏が就任した様ですが、就任式の塀の外ではブッシュ反対派のデモが行われ、警官隊と衝突している様子がテレビで放映されていました。それに比べると森総理に対する日本国民の対応は本当にお人よしです。
最近でも森総理は相変わらず、わたしたちの気持ちを逆撫でしているようです。
以下、神戸新聞(1月18日朝刊)より抜粋しました。
『森喜朗首相らは阪神大震災から丸六年に当たる十七日、例年首相が必ず出席してきた現地の追悼行事を初めて欠席したことについて、苦しい「釈明」に追われていました。
森首相は同日午前、記者団に「伊吹文明防災、危機管理担当相に行ってもらった方がいいということだ」と説明。福田康夫官房長官は記者会見で、首相欠席の理由を問われ「アフリカ訪問から帰ってきたばかりで公務がたまっている。国会も始まる。(スイスの)ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)の準備もある」と来週、再来週の日程まで持ち出し“多忙”を強調した。
しかし、この日の首相は各省庁の新旧幹部あいさつと、環境省主催の討論集会に出た程度。記者団からは「神戸よりダボスの方が大事なのか」との質問まで飛んだ。
批判を危ぐしたのか首相は午後、この討論集会で自ら発案して参加者と黙とう。夕方に予定していたワイン業界などのパーティー出席を自粛した。
首相サイドは「五年たち一段落した。次に行くのは十年目の節目でいい」(政府筋)などと、昨年秋に欠席を決めていたが、首相秘書官は記者団に「アフリカ訪問に行く前は出席になっていた」とするなど、ちぐはぐな対応も目立った。』
というわけで、一刻も早く首相を退任してもらいたいものです。
自民党の小泉純一郎氏が「最大派閥である橋本派の思惑による総裁選び」以外で、はじめて総裁に選出された。
この間、マスコミでは自民党総裁選一色の風潮をあおっていたこともあり、大阪ミナミでの立候補者演説会も大盛況。日本中が関心を示した。もっぱら、小泉氏の改革に対する姿勢を取り上げ、田中真紀子氏ともども小泉ブームを巻きおこした。
本日4月26日午後1時から衆院本会議の首相指名選挙で圧倒多数の支持の中、正式に小泉首相が誕生した。組閣においては最大派閥の橋本派からは2名(前回は5名)と派閥抜きの人事を実行した。外相に田中真紀子・元科技庁長官を、行政改革・規制改革担当相に石原伸晃氏を抜てき、経済財政担当相に竹中平蔵慶大教授を起用するなど女性、若手、民間人を大幅に登用するなど評価されている。「改革断行内閣」「構造改革の実現」をキャッチフレーズとして掲げているが、一方、郵政三事業の民営化にはじまり、憲法改正(9条関連)を明言、自衛隊を軍隊化する旨の発言もあり、右傾化への「改革断行」を行う可能性が高いことからも、平和、人権を重視する私たちにとってこれまでの自民党以上に小泉首相をさらに警戒して見ていく必要があるといえます。
いわゆる、石原都知事と同類だと思いますが...
小泉首相、靖国(前倒し)公式参拝を許すな!(2001.8.16追加)
小泉純一郎首相は13日夕方、東京千代田区にある靖国神社に参拝した。終戦記念日(15日)の参拝は、近隣諸国や国内の強い反発を考えて断念し、時期を前倒しした。現職首相の靖国参拝は1996年7月の橋本龍太郎首相以来5年ぶり。首相周辺では、15日を外した場合の日程として、中国が非公式に希望していた「16日以降」の参拝案が浮上していたが、(1)中国に配慮した色彩が強くなる(2)早期に靖国問題を収拾しないと批判がさらに強まる――との理由から前倒しに踏み切った。... としている。
賛成派、反対派からも支持されない中途半端な決断だったようです。そこまで公式参拝にこだわる理由は全くありません。なぜ今、進んでアジア内で孤立を深めようとしているのか?今後、憲法9条の改悪を見据えているのか?教科書問題を含め、右傾化への懸念が強まるばかりです。
石原慎太郎東京都知事は15日午後、東京都千代田区の靖国神社に公式参拝した。終戦記念日に都知事として公式参拝したのは昨年に続き2度目。文京区で開かれた都の戦没者追悼式に出席後、靖国神社に向かい、「東京都知事 石原慎太郎」と記帳、参拝した。
石原知事は参拝後、小泉純一郎首相の前倒し参拝について記者団に感想を問われ、「残念。足して2で割る方法はこそく。ますます日本の外交は侮られるばかりだ」と批判した。
また、自身の参拝が公式かどうかの質問には「くだらんことを聞かないで。(公式が)当たり前に決まっているだろう」と強調。...
相変わらずの高飛車な態度です。石原都知事の発言にある日本が外交のあらゆる面で”イエスマン”になる必要は全くありませんが戦争責任を認める態度をアジア諸国に表明することがなぜ他の国に”なめられる”ことになるのか全く理解できません。
平和と人権を大切にする私たちは引き続き、この二人を注意深く観ていく必要があります。世間では非常に人気が高いので...
狭山第二次再審・異議申立棄却決定に抗議する!(2002.2.2追加)
東京高裁第五刑事部、高橋省吾裁判長は、1月23日付けで、狭山事件の第二次再審請求の異議申立を棄却する決定を行った。弁護団はこの異議審で8通もの新鑑定を提出し、事実調べを求めたが、高橋裁判長はこれまでと同じく鑑定人尋問をまったくおこなうことなく、一方的に弁護団の主張をしりぞけた。私たちは満身の怒りを持って抗議するものである。
特に、この異議審では、元警察の鑑識課員であった齋藤保・指紋鑑定士による3通の鑑定が出され、狭山事件の唯一の物証である脅迫状を巡って、多くの新たな事実と疑問が明らかにされた。脅迫状の宛名が犯行当日より以前に書かれていたことや筆記用具が「自白」と食い違っているという新事実。「自白」通りであれば脅迫状から石川さんの指紋が検出されるはずであるにもかかわらず全く出ていないという矛盾を再度明らかにした実験。しかし、異議申立棄却決定は、この鑑定をなんら理由を述べることなく、「独断にすぎない」「推測のいきを出ない」などというだけでしりぞけている。
東京高検は、積み上げれば2メートル以上という多数の未開示の証拠を持っていることを認めながら、「プライバシー」などを口実に未だにまったく証拠開示に応じておらず、証拠リストすら明らかにしていない。狭山弁護団は、高橋裁判長に対して刑事訴訟法279条に基づいて、検察官手持ち証拠の内容照会、証拠リストの開示をもとめていたが、それにはまったく触れず、棄却をおこなった。司法制度改革審議会答申が指摘した「証拠開示拡充の必要性」、国連・規約人権委員会による証拠開示勧告などの国内外の世論・市民常識をまったく無視して、このような判断が出されたことに、強い憤りを感じる。
全国に、狭山事件を考える市民の会も広がり、学者・文化人らが狭山事件の疑問や証拠開示について意見広告を出したように、公正裁判を求める声は大きく広がっている。私たちは、異議申立棄却決定に断固抗議し、石川一雄さん、狭山弁護団とともに、再審を実現し、冤罪を完全にはらすまで、断固闘うものである。
「軍隊を捨てた国」コスタリカに学ぶ!(2002.7.16追加)
いま国会では、鈴木宗男議員や政治家の資質(秘書疑惑etc)、議員辞職をめぐる問題がクローズアップされ、各党の思惑も働いて出口のない様相が現れています。マスコミでも議員の資質を問う報道はされていますが、一過性の内容も多く継続した一貫性のある姿勢とはいいがたい面もあり、国民としても飽き飽きしているのではないのでしょうか。
小泉内閣が「改革」を旗印に公明党・保守党も巻き込んで日本を危険な時代に戻そうとしています。国会では「有事法制関連三法案」が特別委員会で議論されていますが、議論と呼べる内容にはなっていません。
「有事」とは一体どういうことでしょうか。簡単なことで「戦争」を意味していることは明白です。日本が侵略を受けるとか、その危険から国民を守るとか様々な言葉がとびかっていますが、「有事」=「戦争」という重大なことを簡単に法制化していいものでしょうか。特に部落差別に反対し、人権の尊重、確立を呼びかけている部落解放同盟として、この危険な「有事法制関連三法案」を何がなんでも反対し、廃案に追い込まなければならないと思います。戦争こそ最大の差別、人権侵害であるという「歴史的教訓」を今こそ大にして主張しなければなりません。
そもそも、「有事法制関連三法案」が上程されている背景には、アメリカ合衆国の「国益」を第一義的とする国際戦略の一環として日本を組み込み、在日米軍と一体となった軍事体制の確立が迫られているからです。国際世界の中で日本の立場を今こそ明確にすべき時ではないかと思います。
第二次世界大戦の教訓、唯一の被爆体験国として、世界に発信すべき事は数多くあるはずです。20世紀は「戦争と人権侵害」の時代であり、21世紀こそ「平和と人権確立」の時代にすることが、20世紀に生まれた我々の責任ではないかと思います。また、部落解放運動を闘っている私たちの基本的な役割であり、平和を求め日々奮闘している各国の人々と連帯して、危険な日本の現状を少しでも変えていかねばなりません。
戦争をはじめると言って、軍事力を強化した国はこれまでの歴史上、どこにもないと思います。いつも「国民を侵略から守るため、平和の維持のために軍隊が必要」など「人を殺す」ことを唯一合法としている軍隊を日本国憲法は放棄しているのに、今やその憲法は空洞化しつつあります。
一度は軍隊の放棄を選択した日本(国民の自覚的な放棄でないとの意見もありますが...)と同等の国家があります。
その国とは「コスタリカ共和国」であります。
「コスタリカ」とはどんな国でしょう?
サッカーのワールドカップの出場国として知っている方、自然保護、エコ・ツーリズムとして有名な国...として知っている人など日本でも関心を持っている方が増えていますが「コスタリカ」といってもどこにあるの?中南米にある国だよ...とすぐに話題が展開し、連続しないことの方が多いでしょう。
・コスタリカ紹介1 ・コスタリカ紹介2